仕事内容


リンギストの仕事内容をいくつかに分類して紹介します。あらゆる仕事を網羅しているわけではありません。

ここでは最終製品(例:多言語対応アプリ)ができ上がるプロジェクトの流れとして以下を想定しています。

A. 原文の設計や制作
 ↓
B. 翻訳の設計や制作
 ↓
C. 最終製品の制作や評価

複数言語の専門家であるリンギストは、単に翻訳(B)だけでなく、原文制作の段階(A)から最終製品が読まれる段階(C)までが仕事の範囲に入ってきます。翻訳前後も含めてリンギストが関わることで、最終製品の言語面での質が向上します。

またプロジェクトではなく、日常的にリンギストが実施する業務もあります。そこで「D. 日常業務」という分類も作っています。


A. 原文の設計や制作

ライティング

テクニカル・ライティングなどで原文を制作。原文の良し悪しは翻訳成果物の質に大きく影響する。

インターナショナリゼーション

多言語化しやすい原文を制作。テキストを画像に埋め込まない、など。

※ 多言語にローカリゼーション(翻訳)しやすいようにあらかじめ製品を作っておくことをインターナショナリゼーションと呼ぶ。


B. 翻訳の設計や制作

設計

最終成果物が満たすべき仕様を決定。用語集、スタイルガイド、翻訳メモリーの選定、検収時の評価方法や合否水準の指定など。

プリエディット

機械翻訳システムが性能を発揮できるように原文を編集しておく。

翻訳

訳出の実作業。翻訳メモリーを利用した翻訳や、機械翻訳システム出力を利用した翻訳(ポストエディットとも)も含まれる。

チェック

訳文の品質を保証する作業。チェック、校正、校閲などが含まれる。LQA(Linguistic Quality Assurance)と呼ばれることも。製品によっては言語面に加え、文化面も対象になる。

※なおISO 17100では、check、revision、review、proofreadはそれぞれ別に定義されている。

言語品質評価

最終納品物の検収や中間納品物の確認で実施。


C. 最終製品の制作や評価

多言語デザイン

印刷物はDTP、アプリはUIデザイン、動画は字幕などが対象となる。

多言語ユーザー評価

多言語化された最終製品が実際に使いやすいのかを評価。


D. 日常業務

言語品質評価

応募されたトライアル課題などを評価。

用語集の整備

特定の分野や顧客で用いる用語集を整備。

スタイルガイドの整備

特定の分野や顧客で用いるスタイルガイドを整備。

言語データの維持管理

複数人が使うことで汚れる翻訳メモリーをきれいにしたり、対訳コーパスを蓄積したりする。

ツールのチューニング

機械翻訳システムやQAツールの性能を引き出せるよう設定する。エラーの定義ファイル修正など。

ツールの評価や選定

言語成果物の質を高められるようなツールを評価したり選定したりする。機械翻訳システム、翻訳支援ツール、TMS、QAツールなど。

人材養成

資料やツールの使い方を教えたり、納品物に関してフィードバックしたりして、人材を育てる。



© 2020 Ryutaro Nishino